2009年7月23日木曜日

腰痛ガイドブック

腰痛ガイドブック 根拠に基づく治療戦略 (長谷川淳史・著)

厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、腰痛は国民が感じている症状の第1位だそうです。

しかしながら、腰痛患者の訴える症状と理学所見や画像所見との関連性が低く、原因を明確に特定できるのは全腰痛患者の15パーセントに満たないといいます。

この本ではEBM(根拠に基づく医療)という考え方により、新たに捉え直された腰痛治療のガイドラインを知ることができます。

「腰痛は、直立二足歩行を選択した人類の宿命」
「腰痛の原因は背骨や椎間板の異常」

などのよく聞く話は、もはや前世紀の遺物でしかありません。


  1. 腰痛は「生物学的(物理的・構造的)損傷」というより、さまざまな要因によって生じる「生物・心理・社会的疼痛症候群」である
  2. 腰痛はごく一部を除き、ある一定の経過をたどって自然に治癒する、予後良好の疾患である
  3. 安静が腰痛や下肢痛に効果があるという証拠はなく、安静にしているとかえって回復が遅れる

ほとんどの腰痛患者にとって画像診断は役に立ちません。なぜなら画像所見と症状との間には、はっきりとした関連性が認められていないからです。

レントゲン写真で確認できる背骨の異常所見は、必ずしも腰痛と関連しているとは言えず、そのほとんどは単なる生理的変化にすぎない

椎間板の異常はごく一般的に見られるどころか、むしろ椎間変性のあるほうが腰痛発生率は低い

脊柱管の狭さと症状の程度との間には相関性がありません
事実、画像診断技術が向上したからといって、腰痛疾患の改善率も向上したという証拠はありません。それどころか、かえって患者の回復を遅らせ、手術頻度の増加や医療費の高騰を招いたという証拠なら山ほどあります

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