2010年7月6日火曜日

生理的局所冷却と冬眠

局所を氷で0℃近くまで冷却することは、その部分の組織を冬眠させているのではないかと思い、手に取った本「冬眠の謎を解く」(近藤宣昭・著/岩波新書)勉強になりました。



『この時期(注:冬眠の時期)には体温は数℃まで下がり、まるで仮死状態となる。体内で細胞の働きを支えるすべての化学反応は、通常の1/50~1/100という驚くべきスローペースで進行するのだが、細胞や組織は生命維持に十分な生き生きとした活動を続けている。このゆったりと流れる生命の時間の中では、心臓の拍動も、脳の情報処理や思考も、全身の細胞や組織への指令も、それを含むあらゆることに消費されるエネルギーも、限りなく1/100に近づく。』


※逆に言えば、低温下では修復速度が速くなる

『脳神経系を介する素早い反応は鳴りを潜め、その支配への依存度は限りなく低くなる。体は外界との遣り取りをほぼ完全に断ち、体外への仕事にエネルギーを消費することはほとんどなくなり、体に蓄積されたありあまるエネルギー源は体内の仕事に費やされる。つまり活動時期とはまったく逆に、体は対外から遮断され、閉じられた系へと切り替えられるのである。
このように切り替えられた体の状態では、器官は脳の支配から解放され、それぞれに適した働きをしながら自立した最も効率的な生存が可能になる。(中略)一見すると、冬眠中の体ではすべての働きが停止し、低温に苛まれながら耐えに耐えているように見える。しかし、閉じられた体内では外部へのエネルギー損失は極度に抑えられ、豊かな体内環境のもとで自立性を高め、独自に最適な働きを続けている。あらゆる細胞は、ほかの細胞が生む負担から解放され、長期的な休息の時期に入り、生存に必要なエネルギーは最低限で済む。その分、体の保守に集中的にエネルギーを使える体制がが整えられる。活動時期に疲弊した部位を回復させたり、傷ついた部位を修復したり、寿命が尽きかけた細胞を再生させたりと、ありとあらゆる手段を講じて体を蘇らせるためにエネルギーを使う体制が作り上げられる』


先代が良く言う「細胞を若返らせる」という意味がやっとわかりました!

大いなる可能性を秘めた「生理的局所冷却法」―――

“自分で治る体”目指して、氷をぜひ活用してください。

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