直立2足歩行の起源については、諸説あり、人類学永遠の課題とも言われていますが、現時点での一番有力な説は
「森林地帯からサバンナやステップの草原地帯へと、気候の変化も伴って行動領域が拡大したことに関係するというものである。草原においてこそ、遠くをみはらすにしても、敵をおどすにしても直立する必要が多く生じる。またなによりも樹上ではどうしても移動のために必要な上肢を、草原では用いなくてもすむ」というものです。
しかし草原に移動したサルが全部2足歩行になったかというと、そうではなくヒヒやマカクやパタスは4足で移動したのです。
ではなぜヒトだけが直立2足歩行になったのか…
これはまだ完全には解明されていません。
「親指はなぜ太いのか」(島泰三・著/中公新書)によると、初期人類の主食は骨(!)だった。
ライオンやハイエナなどのいるサバンナの草原で、肉食獣に食べつくされたあとの残留骨を食べたというのです。
食べるためには食べやすい大きさに砕かなくてはならい、そのために手に石を持ち、それを道具にして骨を砕いた。
しかしまずは安全な場所まで骨を運ばなくてはならない、骨と石を手に持って移動する、必然的に2足歩行にならざるを得ない…。
要約するとこういうことなのです。
「ええ~?」と思いたくなりますが、この本にはこの結論に至るまでの詳細な研究が綴られているので、読めば「なるほど~」という感じなのです。
我々の400万年前の先祖アウストラロピテクスは、狩猟で獣を追っかけたのではなく、獣に怯えながらコソコソと獣の食べ残しを持ち帰って食べていたようです。
追っかけていた歩行ではなくて、生き延びるために必死で逃げることによって完成した歩行なんでしょうね。
わたしたちは何万年単位で初期人類が獲得した直立2足歩行が失われる過渡期に生きているのかもしれません。
しかし今のところはまだ2本足で歩く機能を持っているわけですから、しっかりその機能を使わなくてはいけません。
使わない機能は失われる、これは当たり前のことなのですから。
現代社会に生きる私たちのまわりには野生のライオンもハイエナもいませんが、生き延びるために歩き続けたいものです。
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